「バズ」はなぜ再現できないのか|SNSで結果を出すためのKPI設計
バズらせてほしい、というご依頼をそのままお受けしない理由が2つあります。

「バズらせてほしい」というご相談を、よくいただきます。 気持ちはとてもよく分かります。1本の動画が跳ねて、一気に知られる。そういう例を実際に見かけますから。
ただ、わたしたちはこのご依頼をそのままの形ではお受けしていません。 理由は2つあります。バズは再現できないこと。そしてバズても結果が動くとは限らないことです。
バズの正体は、レコメンドの偶然
いまのSNSは、フォロワーに届けるのではなく、アルゴリズムが「この人が興味を持ちそうか」を推定して配ります。 最初に配られた数百人の反応がよければ、次は数千人に。そこでもよければ数万人に。この階段を登り切ったものが、バズと呼ばれます。
問題は、最初の数百人が誰なのかを、こちらで選べないことです。 同じ動画を同じ時間に出しても、その日の他の投稿の量や、配られた相手の気分によって結果が変わります。 つまりバズの成否には、こちらが制御できない変数が大きく含まれている。 これが「再現性が低い」ということの中身です。
もちろん、当たる確率を上げる技術はあります。冒頭2秒の設計、尺、音、字幕。 私たちもそこは詰めます。ただそれは確率を上げる話であって、 「来月バズらせます」と約束できる話ではありません。約束する会社があれば、その根拠を聞いてみてください。
再生回数が伸びても、売上が動かない理由
こちらのほうが、実は深刻です。
100万回再生された動画があったとします。けれどその100万人のうち、 あなたの商品を買う可能性がある人は何人でしょうか。 おもしろい動画は、おもしろいものが好きな人に届きます。それは必ずしも顧客ではありません。
実際、フォロワーが数万人に増えたのに問い合わせが1件も増えない、という相談は少なくありません。 これは失敗ではなく、そもそも測っている数字が目的とつながっていなかったという設計の問題です。
目的から逆算して、指標を3階建てにする
わたしたちは、数字をこの順番で並べ直すところから始めます。
1階:目的(何のためにやるのか)
売上を増やす。採用の応募を増やす。支持を広げる。指名で検索されるようにする。 ここは数字ではなく、言葉で書きます。ここが曖昧なままだと、以降がすべて崩れます。
2階:中間指標(目的の手前にある、動いたら嬉しい数字)
問い合わせ件数、プロフィールからのサイト遷移、指名検索の数、来店時の「SNS見ました」の数。 この階の数字が、SNS運用の実質的な成績表です。
3階:行動指標(毎日こちらで動かせる数字)
保存率、視聴維持率、プロフィール到達率。 これらは中間指標を動かすためのレバーで、日々の改善はここを見ます。
再生回数とフォロワー数は、3階のさらに下にある参考値です。 見てはいけない数字ではありませんが、これが目標になった時点で、運用は目的から離れていきます。
業種によって、見る数字は変わる
| 目的 | いちばん見るべき中間指標 |
|---|---|
| 店舗に来てほしい | 地図アプリでの検索数、来店時アンケートの流入元 |
| 商品を売りたい | プロフィールリンクの遷移数と、そこからの購入率 |
| 採用したい | 採用ページの閲覧数、応募時の「知ったきっかけ」 |
| 支持を広げたい | 保存数、コメントの内容の変化、指名検索数 |
「支持を広げたい」の欄に、コメントの内容を入れているのは意図的です。 数ではなく、書かれていることが変わったかどうか。ここは自動では測れませんが、 公人のアカウントでは、どの数字よりも早く変化が現れる場所です。
3ヶ月と6ヶ月で、それぞれ何が変わるか
正直にお伝えすると、最初の3ヶ月で売上が跳ねることは、まずありません。 この期間に起きるのは、どういう投稿が刺さるかの手応えがつかめること。そして続けられる制作の型ができることです。
中間指標が動き始めるのは、多くの場合4ヶ月目以降です。 問い合わせのときに「SNS見ました」と言われる回数が増えてくる。そこからが本番です。
遅いと感じられるかもしれません。ただ、これがSNSで結果が出るときの実際の速度です。 一発逆転を売らないのは、それが売り物にならないと知っているからです。
まとめ
バズを目標にすると、制御できないものに賭けることになります。 目的から指標を3階建てにして、毎日動かせる3階を積み上げる。 遠回りに見えて、これがいちばん確実な道です。
いまお持ちのアカウントで、どの数字を見ればいいか分からないという方は、 現状の数字を一緒に読むところからお手伝いできます。

